猫の膀胱炎と腫瘍について|長引く膀胱炎は腫瘍のせいかも?

トイレから顔を出す猫

猫の膀胱炎と腫瘍について|長引く膀胱炎は腫瘍のせいかも?

猫の膀胱炎は、細菌感染やストレスが原因で発症することが多いです。
しかし、まれに膀胱炎の背景に腫瘍が関与していることがあります。
「膀胱炎を何度も繰り返しているけど他の病気?」
「血尿が長引くのは膀胱炎のせいじゃないの?」
「腫瘍ってどうやって治療するの?」
このような疑問をお持ちになった方もいるかもしれません。

今回は、猫の膀胱炎と腫瘍の関係について詳しく解説し、適切な対処法を紹介します。
ぜひ最後までお読みになっていただき、猫の腫瘍に気づくきっかけにしてください。

猫の膀胱腫瘍とは?

猫の膀胱腫瘍は膀胱炎と比べると比較的まれな病気です。
膀胱に腫瘍ができると、腫瘍の周りに炎症が起こったり腫瘍そのものが膀胱の機能を制限してしまいます。
膀胱腫瘍は膀胱炎と似た症状を引き起こすため、発見が遅れることがあることに注意が必要です。
特に高齢の猫は膀胱腫瘍のリスクが上がるので気をつけましょう。

主な膀胱腫瘍の種類

猫の膀胱腫瘍には、以下のようなものがあります。

  • 移行上皮癌:最も多い悪性腫瘍で、膀胱の粘膜から発生する腫瘍
  • 平滑筋肉腫:膀胱の筋肉にできる腫瘍
  • 良性ポリープ:ポリープが大きくなると排尿障害を引き起こす

特に移行上皮癌は悪性度が高く、転移のリスクもあるため注意が必要な腫瘍です。

猫の膀胱炎と膀胱腫瘍の症状

猫の膀胱炎と膀胱腫瘍の初期症状はほぼ変わらず、以下の症状が出ることがあります。

  • 血尿
  • 頻尿
  • 排尿時の痛み
  • トイレの失敗
  • 尿が出ない

症状から膀胱炎と膀胱腫瘍を見分けるのはとても難しいです。

猫トイレの前に手をかける猫

膀胱炎と膀胱腫瘍の見分け方

では、膀胱炎と膀胱腫瘍の見分け方は何があるのでしょうか。

膀胱腫瘍の症状は膀胱炎の治療をすると一時的に落ち着くことがあります。
しかし、腫瘍自体が治ることはないため、治療をやめると再度症状が出やすいことが特徴です。

そのため、以下のような場合は、膀胱腫瘍の可能性を考えましょう。

  • 膀胱炎の治療をしても改善しない
  • 抗生剤を使っても血尿が続く
  • 膀胱炎を何度も繰り返す
  • 高齢の猫で膀胱炎の症状がある

膀胱炎を何度も繰り返している場合や治療に反応しない場合は、超音波検査やX線検査、尿細胞診などで詳しく調べることが重要です。

猫の膀胱腫瘍の治療法

膀胱腫瘍の治療法は、腫瘍の種類や進行度によって異なります。

開腹手術

腫瘍が小さい場合は、開腹手術で摘出することが可能です。
根本的に膀胱腫瘍を治療するためには手術が必要です。
しかし、膀胱の構造上、完全に取り除くのが難しいこともあります。

また、腫瘍が大きくなっている場合には膀胱を全摘出する必要もあるため、早期に治療することが重要です。

内視鏡手術

体への負担を減らすために、内視鏡を用いた手術が行われることもあります。
内視鏡がある病院は限られているため、対応している動物病院を選ぶ必要があります。
また、あまり大きな腫瘍は内視鏡で取ることができないため、大きくなる前に治療を受けることが大事ですね。

抗がん剤治療

移行上皮癌などの悪性腫瘍では、手術が難しい場合や転移がある場合に抗がん剤治療を行うことがあります。

膀胱腫瘍を早期発見するために

膀胱腫瘍は早期に治療を行わないと、手術での治療が困難になる場合があります。
また、移行上皮癌は全身に転移すると、命の危険があるため、早期発見が重要です。

膀胱腫瘍と膀胱炎は初期のうちは見分けが難しいです。特に猫は膀胱炎を起こしやすい動物なので、膀胱炎だと飼い主が様子を見てしまうことがあります。
猫の尿がおかしいと感じた場合や、膀胱炎の症状が出ていると思った場合には早く動物病院を受診しましょう。

まとめ

猫の膀胱炎が長引く場合や、血尿が続く場合は、膀胱腫瘍の可能性を考える必要があります。
特に、高齢の猫では膀胱腫瘍が発生しやすいため、早期の診断と治療が重要です。

当院では泌尿器外科に力を入れています。
膀胱腫瘍の治療でも手術や抗がん剤治療など幅広い選択肢を取ることが可能です。
愛猫の健康を守るためにも、気になる症状があれば早めにご相談ください。

熊本県玉名市六田
はやの動物病院