犬の腎芽腫とは?|若い犬でも注意すべき腫瘍のひとつ

クッションにもたれて眠る柴犬の子犬

犬の腎芽腫とは?|若い犬でも注意すべき腫瘍のひとつ

犬の腫瘍というと、高齢になってから発生するイメージを持つ方が多いかもしれません。
たしかに、多くの腫瘍は加齢とともに発生率が高くなります。
しかし、実は若い犬にも発生する腫瘍があります。そのひとつが腎芽腫(じんがしゅ)です。

今回は、そんな犬の腎芽腫について、原因や治療方法を含めて詳しくご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、若い犬の腎臓を守るために理解を深めてください。

腎芽腫とはどんな腫瘍?

腎芽腫とは、腎臓にできる腫瘍です。
胎児の時の腎臓の細胞が正常な発達を遂げずに、異常に増殖することで発生します。
つまり生まれつきの構造の問題で起こる先天性腫瘍の一つです。
若齢期に発症する可能性があるという点が大きな特徴です。
生後数か月〜2歳前後で見つかるケースもあります。

腎芽腫は比較的まれな腫瘍のため、犬では報告例も多くはありません。
しかし、腎芽腫は大きくなりやすく、転移しやすいという報告があるため注意が必要な腫瘍です。

一般的な腎臓の腫瘍とは異なり、若いうちから腎臓に異常が見られる場合には注意が必要です。

どんな症状が出る?

腎芽腫の初期には、目立った症状が出ないこともありますが、腫瘍が大きくなるにつれて以下のような症状が現れることがあります。

  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 元気消失
  • 腹部のふくらみ(腎臓の腫大)
  • 頻尿や血尿などの泌尿器症状
  • 腹部痛や嘔吐など

腫瘍が進行すると、腎機能が低下する可能性があります。
また、腎芽腫は転移のリスクが高いため、肺などの他の臓器に転移を起こすこともあります。
腫瘍が大きくなることにより腸や血管などを圧迫してしまうケースもあるため、早期発見・早期対応が非常に重要です。

腎芽腫の診断と治療法は?

腎芽腫が疑われる場合、まずは腹部の触診や血液検査、尿検査が行われ、その後に以下のような画像診断が実施されます。

  • 腹部超音波検査
  • X線検査
  • CTスキャン(必要に応じて)

腎臓に腫瘤が認められた際には、針吸引による細胞診や、より確定診断に近づけるための病理組織検査が行われることもあります。

治療としては、基本的には外科手術が第一選択です。
外科手術では、腫瘍の摘出もしくは、腫瘍を含む腎臓を摘出する腎摘出術を行います。
もう一方の腎臓が正常に機能していれば、摘出後も健康に過ごすことが可能です。

腫瘍の大きさや転移の有無によっては、抗がん剤などの化学療法が併用されることもあります。

目をつぶって眠る犬の子供

若い犬だからこそ、見逃さないために

若い犬に対して腫瘍の可能性があると考えることは難しいかもしれません。
腎芽腫の症状を成長期の変化や一時的な体調不良と見過ごされることもあります。
しかし、腎芽腫のように若いうちから現れる腫瘍もあるため、日頃から健康チェックや行動の観察をすることが重要です。

腎芽腫は大きくなるのも早く、転移をしやすい腫瘍です。
少しの違和感や体調の変化でも、早めにご相談いただくことで、進行する前に治療の選択肢が広がる可能性があります。

まとめ

腎芽腫は、若い犬にも発生する比較的まれな腫瘍です。
症状がはっきり現れにくいこともあるため、日頃からの観察と定期的な健康チェックが重要になります。

腎芽腫の治療は外科手術が第一選択です。
はやの動物病院では、泌尿器外科にも力を入れています。
腎臓の疾患に関しても適切に対応できる体制を整えていますので、気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

熊本県玉名市六田

はやの動物病院