犬の尿管結石とは?|尿管切開術についても獣医師が解説

ケージに入ってこちらを見つめる犬

犬の尿管結石とは?|尿管切開術についても獣医師が解説

「尿管結石で手術が必要だといわれた」
「尿の出が悪くて、お腹が痛そうにしている」
「結石が尿管に詰まっているって、どういうこと?」

このような不安を抱えた飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。

犬の泌尿器疾患のなかでも、腎臓と膀胱をつなぐ尿管にできる尿管結石は、見逃すと腎機能の低下につながる重大な病気です。
場合によっては、尿管を切開して石を取り除く「尿管切開術」が必要になることもあります。

今回は、犬の尿管結石とその外科治療についてわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬が尿管結石になってしまった時の対応にお役立てください。

尿管結石とは?どんなリスクがあるの?

尿管結石とは、腎臓と膀胱をつなぐ細い尿管の中に、結石が詰まってしまう状態です。
結石が尿の流れをふさぐことで、尿が腎臓に逆流して腎盂(じんう)にたまり、水腎症という状態になることもあります。

放置すると以下のようなリスクがあります

  • 腎臓への圧力による機能低下
  • 感染による腎盂腎炎
  • 腎臓の萎縮や破裂

一方で、初期は無症状なこともあり、健康診断や別の病気の検査で偶然見つかることもあります。

トイレットペーパーで遊ぶ子犬

尿管結石の症状

症状は結石の大きさや詰まり具合によって異なりますが、以下のようなサインが見られることがあります。

  • 尿量の減少・頻尿
  • 嘔吐や元気消失
  • 食欲不振
  • 腰を丸めるような姿勢(痛みのサイン)
  • 血尿や尿のにごり

放置していると急性腎障害を起こす可能性があるため、気になる症状があれば早めに動物病院を受診しましょう。

尿管切開術とは?どんなときに行うの?

尿管結石では、治療で尿管切開術という手術を行うことがあります。
尿管切開術は、尿管を切開して直接結石を取り除く手術です。

この手術が検討されるのは以下のようなケースです。

  • 石が完全に尿管をふさいでいる
  • 内科治療では結石が溶けない
  • 腎機能がすでに圧迫を受けて低下している
  • 再発を繰り返している

尿管は非常に細く、血流も豊富なため、手術には高度な技術が求められます。

外で壁に向かって排泄する犬

手術の流れと術後管理

尿管切開術は以下のような流れで行われます。

  1. 血液・画像検査で腎臓や全身の状態を評価
  2. 麻酔下で尿管を切開し、結石を慎重に摘出
  3. 尿管を丁寧に縫合し、尿の通り道を確保
  4. 必要に応じて、尿管ステントや腎瘻チューブを設置
  5. 術後は数日間の入院で排尿状態や腎機能を観察

尿管切開術は成功率が高い手術ではありますが、再閉塞のリスクや感染管理には注意が必要です。
退院後も、定期的な尿検査や画像検査を続けることが大切ですね。

再発予防のポイント

尿管結石は、体質や食事、飲水量などが関係しており、再発のリスクもあります。
再発を予防するための方法をいくつかご紹介します。

  • 水分摂取を促す(フードの水分量、飲水器の工夫など)
  • 療法食の活用(結石の種類に合わせた管理)
  • ストレスの少ない生活環境
  • 定期的な尿・血液・画像検査でのフォローアップ

はやの動物病院では、泌尿器外科と内科の両面から、犬の尿路結石の診断・治療に対応しています。

術後の管理や再発防止にも力を入れておりますので、長期的なサポートが可能です。

まとめ

犬の尿管結石は、気づかずに進行すると腎臓の機能が失われる可能性のある、重大な泌尿器疾患です。
内科的な治療で対応できない場合は、尿管切開術による結石の摘出が必要になります。

「なんとなく元気がない」「最近尿が少ない気がする」などの小さなサインも、腎臓や尿管の異常の兆候かもしれません。
気になる症状がある場合には早めに当院へご相談ください。早期発見・治療が鍵となります。

熊本県玉名市六田
はやの動物病院