犬が排尿後にうろうろしている？｜考えられる原因と対処法を獣医師が解説

2025年10月21日 2025年11月5日

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犬が排尿後にうろうろしている？｜考えられる原因と対処法を獣医師が解説

「犬が排尿後にトイレの周りをうろうろする」
「排尿後に落ち着かない」
そんな様子が見られるのは、犬の泌尿器系に何かしらの異常が起きているサインかもしれません。

この記事では犬が排尿後にうろうろする原因と、考えられる病気や治療法について詳しく解説いたします。
ぜひ、最後までお読みいただき、犬の泌尿器の病気に関して理解を深めていきましょう。

犬が排尿後にうろうろしているときに考えられる原因

犬が排尿後にうろうろしているときには、泌尿器系の不調や不快感が起きている可能性があります。
原因別に詳しく解説していきましょう。

膀胱炎

膀胱炎は犬によく見られる泌尿器系のトラブルの１つです。
犬の膀胱炎は、

細菌感染
結石
腫瘍
ストレス

などにより膀胱に炎症が起きる病気です。
排尿時の不快感から、排尿後にうろうろすることがあります。

主な症状は、

頻尿
血尿
排尿時の痛み
尿の濁り
尿の臭いの変化
トイレ外での排尿姿勢

などといったものがあります。

前立腺炎

前立腺炎は、主に去勢手術を受けていない男の子の犬に見られる病気です。
細菌感染により前立腺に炎症を起こすため、膀胱炎と同様に排尿時に不快感を示します。
血尿や膿が混じった尿をすることもあります。
また前立腺腫大を伴う場合は、排便困難やしぶりの症状が出ることもあるので注意が必要です。

尿路結石症（膀胱結石・尿道結石）

膀胱や尿道に結石ができると、尿がうまく出せなくなったり、少しずつしか排尿が出来なくなったりすることがあります。
膀胱内や尿道内の結石が炎症を引き起こし、排尿時の痛みや不快感から排尿後にうろうろする行動に繋がります。

膀胱炎と同様の症状に加え、

排尿前後に痛がる
何度も排尿姿勢をとるがほとんど尿が出ない
元気や食欲が落ちる

などといった症状も見られるようになったら、結石による排尿障害（結石の閉塞）の疑いがあるかもしれません。

膀胱腫瘍

特に中年齢から高年齢の犬で注意したいのが、膀胱腫瘍です。
膀胱や尿道に腫瘍が出来ることにより、排尿が妨げられたり、炎症を引き起こしたりすることで、排尿に関連する不快感を起こします。
その他の症状は膀胱炎と同様ですが、膀胱腫瘍は骨へ転移することもあるため、歩行異常や神経痛などの症状が出てくる場合もあります。

その他の原因

犬が排尿後にうろうろしてしまう原因として、その他には皮膚トラブルの可能性もあります。
外陰部周囲に皮膚炎を起こしている場合は、排尿後の不快感によりうろうろしてしまう場合もあります。
その他、環境の変化やストレス、認知機能の低下も、排尿後に落ち着かず歩き回る要因のひとつです。
自分が排尿したところや、周囲の確認、においの確認を行うなど、犬の習性の場合もあるでしょう。

検査と診断法

排尿に関わる主な検査は以下の通りです。

視診、触診
尿検査　　
超音波検査　
レントゲン検査　
組織検査

犬が排尿後にうろうろしている場合には、まず外陰部周囲の異常がないか視診で確認します。
そのほか上記の検査を組み合わせて、行動の原因となっている病気を探しにいきます。
とくに原因に腫瘍が隠れている場合は、早めの治療が必要です。
犬の排尿後に違和感を感じたら、なるべく早く動物病院を受診しましょう。

治療法と手術の選択肢

犬が排尿後にうろうろする原因がどの疾患によるものかによって、治療法はさまざまです。
また場合によっては、手術が必要となることもあります。

それぞれ詳しく解説していきましょう。

膀胱炎

膀胱炎は、原因別に治療法が異なります。
以下が主な治療法です。

抗菌薬の使用
食事療法
環境整備、ストレスの除去

尿に細菌感染を認めた際には、抗菌薬の使用を行います。
また膀胱結石が出来ている際には、結石溶解を目的として、療法食を使用する場合もあります。
そしてストレス要因が疑わしい際には、トイレの環境の整備や、ストレスの除去など日常の生活の見直しを行ってみましょう。
このように膀胱炎は内科治療が中心となりますが、手術が必要な場合もあります。
とくに膀胱結石が膀胱炎の原因の場合には、膀胱切開術などの手術が必要です。