犬の乳腺腫瘍ステージⅠは完治できる?特徴・治療・予後まで詳しく解説
犬の乳腺腫瘍は、主に避妊手術をしていない雌犬に多く見られる腫瘍です。
犬の腫瘍の中でも発生頻度が高い疾患のため、身近で経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
乳腺腫瘍は進行度によってステージが5段階に分けられ、治療法の選択の目安となっています。
その中でもステージⅠ(Stage1)は最も早期の段階であり、適切な治療を行えば良好な予後が得られる場合が多いです。
この記事では、犬の乳腺腫瘍ステージⅠの特徴や治療法、予後について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の乳腺腫瘍のステージⅠについて知見を深めてください。

犬の乳腺腫瘍とは?
犬の乳腺腫瘍は、左右5対(計10個)の乳腺に単一もしくは多発性にしこりが発生します。乳腺腫瘍は犬の腫瘍のなかでも発生頻度の高い腫瘍です。
主な原因はホルモンの影響と言われており、未避妊の雌犬に多く発生を認めます。
犬の乳腺腫瘍には良性のものと悪性のものがあり、50%が悪性腫瘍と言われています。
悪性の場合は近くのリンパ節や、肺などのその他の臓器に転移する場合があるため、早期発見することが重要です。
乳腺腫瘍のステージ分類とは?
犬の乳腺腫瘍は、病気の進行度によって以下の3要素(TNM分類)を基準にステージが分けられます。
- 腫瘍の大きさ:T分類
- リンパ節転移の有無:N分類
- 遠隔転移(肺や肝臓など)の有無:M分類
これらのTNM分類に基づき、ステージⅠからステージⅤの5段階に分類されます。
このステージ分類に基づいて治療方針や予後が決められていきます。
今回は乳腺腫瘍のステージのなかで、最も予後が良いとされるステージⅠについて詳しく解説していきましょう。
犬の乳腺腫瘍ステージⅠはどんな状態?
犬の乳腺腫瘍ステージⅠは以下の条件を満たすものを指します。
- 腫瘍の大きさが3cm以下(T1)
- リンパ節転移なし(N0)
- 遠隔転移なし(M0)
つまり犬の乳腺腫瘍ステージⅠは腫瘍が小さくリンパ節にも遠くの臓器(肺や肝臓など)にも転移していない状態となります。
この段階で腫瘍が見つかれば完全切除が可能であることが多く、最も予後が良いステージです。
乳腺腫瘍ステージⅠの症状
ステージⅠは非常に早期のため、多くの場合症状がほぼありません。
ご自宅でシャンプーをしているときなどに、乳腺に小さなしこりがあることに気がつくケースが多いです。
またステージⅠは痛みや腫れ・出血などの症状も通常ありません。
ただし、しこりが良性か悪性かは触診や視診では区別できません。
しこりが小さいと放置してしまいがちですが、腫瘍の可能性もあるため早めに動物病院を受診しましょう。
乳腺腫瘍ステージⅠの治療方法
犬の乳腺腫瘍ステージⅠの場合、治療の中心は外科手術による腫瘍の切除です。
乳腺腫瘍の手術の方法は、腫瘍の大きさや位置により選択されます。
以下が乳腺腫瘍の主な術式です。
- 部分切除(腫瘍のみ切除)
- 単一乳腺切除
- 片側乳腺全摘出
- 両側乳腺全摘出
ステージⅠの場合は腫瘍の過剰切除を避けつつ、完全に腫瘍をとりきることが重要です。
腫瘍の大きさや位置によっては、身体の負担と治療効果のバランスをとって、部分切除や単一乳腺切除といった術式が選ばれる場合もあります。
どのような手術方法で行うかは、獣医師とよく相談しましょう。
避妊手術も一緒に行う?
乳腺腫瘍の手術を行う際には、避妊手術(卵巣子宮摘出)を同時に行うことが一般的です。
乳腺腫瘍はホルモンの影響を強く受ける腫瘍のため、避妊手術を行うことは再発予防としてメリットが大きいです。
抗がん剤治療は必要?
腫瘍と診断されたら、抗がん剤治療が必要なのかと不安になる飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
犬の乳腺腫瘍ステージⅠでは、抗がん剤治療は不要なことが多いです。
- 腫瘍の悪性度が低い
- 転移がない
- 術後の再発リスクが少ない
上記のように判断されれば、手術のみで治療が完結します。
ただし摘出した乳腺の病理検査で、
- 腫瘍が高悪性度である
- 腫瘍の浸潤性が強いタイプである
- 切除マージン(切り取った端)に腫瘍が残っている
などといった結果がでた場合は、追加治療を検討することがあります。

犬の乳腺腫瘍ステージⅠの術後のケアと予後
乳腺腫瘍ステージⅠでは術後のケアも重要です。
前述のとおり、手術で摘出した乳腺やリンパ節は病理検査により以下の状態を確認します。
- 腫瘍の悪性度
- 切除マージン(腫瘍を取り切れているか)
- リンパ節転移の有無
乳腺腫瘍の手術後は、
- 乳腺腫瘍の再発や転移
- 残っている乳腺の新たな病変の形成
などといったことが起きてこないか確認してもらうため、定期的に通院する必要があります。
犬の乳腺腫瘍ステージⅠの予後は非常に良好です。
完治率が高く、完全切除できた場合、長期生存率(2~3年以上)80〜90%以上とも報告されています。

まとめ
犬の乳腺腫瘍ステージⅠは、腫瘍が3cm以下でその他の臓器への転移もない最も早期の段階です。
基本治療は手術になり、良性なら根治、悪性でも高い治療効果が期待できます。
早期発見するためには、ご自宅での観察と定期的に健診を行うことが重要です。
当院は外科に力を入れています。
しこりを発見した際や、乳腺腫瘍の手術の相談などいつでもご来院ください。
熊本県玉名市六田
はやの動物病院


