下顎結合離開

下顎結合とは

下顎骨は、人も動物もみな同様に、二つの骨が中心で合わさってできています。

この部分を下顎結合と呼びます。

下顎結合は線維性結合と呼ばれ、つまり完全に骨同士が溶けてくっついているのではなく、緩くくっついています。

普通に生活していればこの結合が外れることはありませんが、交通事故などの大きな衝撃により外れてしまうことがあります。

これを下顎結合離開といいます。

症状

下顎結合離開のほとんどは交通事故によるもので、多くは外飼いの猫ちゃんに発生します。

顎がずれて犬歯同士が接触することで口が閉じられなくなったり、よだれが出たり、口をもごもごさせたりといった症状が現れます。

また、交通事故の場合、頭部を激しく打っていることが予想されるため、鼻出血や頭部外傷に伴うけいれん発作などが認められることもあります。

交通事故の場合は下顎結合のような見た目でわかる異常よりも内臓系の異常のほうが重症なことも多々あります。

治療

そのままではご飯も食べられないため、状態が安定化し、他の疾患がないことが確認されたら速やかに外科的な整復を行います。

医療用ワイヤーで外れた下顎結合を固定します。

本症例は歯肉と下唇をつなぐ靭帯も切れており、唇が垂れ下がっていたため、同時に縫合して整復してあります。

この状態で1か月ほど過ごし、下顎骨同士の線維性結合が再構築されたのを見計らってワイヤーを抜去します。

外で過ごす猫ちゃんはこういった交通事故に巻き込まれるリスクと常に隣り合わせです。

マダニが媒介するウイルス疾患も流行ってきているので、必ず猫ちゃんは室内で飼いましょう。