犬の神経原性排尿障害とは?|外科手術が適応となるケースと治療の流れについて

犬の神経原性排尿障害とは?|外科手術が適応となるケースと治療の流れについて

野原でこちらを見つめるミニチュアシュナウザー

犬の排尿障害を起こす病気というと、結石や感染症を思い浮かべる方が多いかもしれません。
たしかに、犬の泌尿器科において、結石や感染症はよく見られる病気です。
しかし、犬に無尿や尿失禁などの排尿障害が見られる場合、その原因として神経系の問題が関わっていることもあります。

今回は犬の神経原性排尿障害について紹介し、外科手術が適応となるケースと治療の流れを詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬が神経原性排尿障害になってしまったときの参考にしていただければ幸いです。

犬の神経原性排尿障害とは?

犬の神経原性排尿障害とは、神経系に何らかの問題があるために、正常な排尿ができなくなる病気のことです。
神経系に問題が起きる原因には、

  • 脊髄損傷
  • 椎間板ヘルニア
  • 脳・脊髄の腫瘍
  • 変性性脊髄症

などがあります。

犬の神経原性排尿障害の症状

犬の神経原性排尿障害の症状は、

  • 自力での排尿ができなくなるタイプ
  • 尿が常に漏れ出てしまうタイプ

の2つに分けることができます。
それぞれのタイプについて解説します。

自力での排尿ができなくなるタイプ

犬が自力で排尿できなくなるタイプでは、脳から仙髄までの神経に問題がある可能性が高いです。
脳から仙髄の間に問題があると、

  • 膀胱が尿でいっぱいになっていることを脳が気付かない
  • 排尿するために膀胱を収縮させることができない
  • 膀胱の筋肉が緊張し過ぎてしまう

といった状態になり、自力での排尿ができなくなります。
具体的には、

  • 尿がうまく出せなくなる
  • 尿が全く出なくなる
  • 膀胱が尿でパンパンになる

などの症状が見られます。
尿が全く出なくなってしまうと、命に関わる危険があり、注意が必要です。
愛犬の尿が全然出ていないという場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。

尿が常に漏れ出てしまうタイプ

犬の尿が常に漏れ出してしまうタイプでは、仙髄から下の神経に問題がある可能性が高いです。
仙髄から下の神経に問題があると、

  • 膀胱が尿でいっぱいになっていることに脳が気付かない
  • 膀胱の筋肉が弛緩してしまう

といった状態になり、尿が常に漏れ出てしまいます。
具体的には、

  • 尿が常にポタポタとたれている
  • 失禁してしまう

などの症状が見られます。
尿が常に漏れ出ていると、お尻のまわりが不衛生になり、感染症を起こしやすくなるため、注意が必要です。

犬の神経原性障害の検査

床に寝そべって上を見上げる犬

犬の神経原性排尿障害が疑われるときには、以下のような検査をします。

  • 尿検査
  • エコー検査
  • レントゲン検査
  • 神経学的検査
  • MRI

上記の検査により、結石や感染症などを除外し、

  • 神経に異常はないか
  • 神経に異常がある場合はどこにあるのか

を調べます。

犬の神経原性排尿障害の治療

犬の神経原性排尿障害の治療には、根本的治療と対症療法があります。
それぞれについて詳しく解説します。

根本的治療

神経原性排尿障害では、原因となる神経の問題を治療することが重要です。
神経原性排尿障害の原因が

  • 椎間板ヘルニア
  • 脳や脊髄の腫瘍

である場合、外科手術により症状の良化が期待できます。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、変性した椎間板が脊髄を圧迫する病気です。
外科手術にはいくつかの方法があり、代表的なものには、

  • 片側椎弓切除術
  • 部分的側方椎体切除術

などがあります。
椎間板ヘルニアの外科手術は、いずれも脊髄の圧迫を解除するのが目的となります。

脳・脊髄の腫瘍

犬の脳や脊髄に腫瘍がある場合には、外科手術により腫瘍を取り除くのが1番理想的です。
しかし、腫瘍の場所によっては手術が難しいときもあります。
その場合には、放射線治療や抗がん剤治療などを行うこともあります。

対症療法

犬の神経原性排尿障害の原因のなかには、

  • 脊髄損傷
  • 変性性脊髄症

といった、外科手術による根本的治療が難しい病気もあります。
先述した椎間板ヘルニアや脳・脊髄の腫瘍においても、手術後十分な症状の緩和が見られないときもあるでしょう。

そのような場合には、対症療法を行います。
対症療法には、

  • 尿カテーテルの留置
  • 膀胱のマッサージ
  • 膀胱圧迫による排尿介助
  • 抗炎症薬や鎮痛薬の使用
  • 膀胱の筋肉に作用する内服薬の使用

などがあります。
尿カテーテルの留置は比較的簡単に行うことができ、犬の負担も少ないためおすすめです。
犬の膀胱内に留置した尿カテーテルを用いることで、排尿の管理を行うことができます。

ただし、尿カテーテルを常時設置していると、感染しやすい状態となるため注意が必要です。
尿カテーテル以外の対症療法については、犬の症状により効果の程度もさまざまです。
犬の治療への反応を見ながら、いくつかの方法を組み合わせて行う形となります。

まとめ

ラグの上でこちらを見つめる犬

いかがでしたでしょうか?
犬の神経原性排尿障害は、原因により治療が異なり、完治が難しいことも多い病気です。
獣医師と相談しながら、愛犬に合った治療を選択できると良いですね。

当院では泌尿器科に力を入れており、神経原性排尿障害の場合にもさまざまな治療をご提案することが可能です。
愛犬の排尿障害でお困りの方や、神経原性排尿障害についてご相談がある方は、お気軽にご連絡ください。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 神経原性排尿障害は治る病気ですか?

A. 椎間板ヘルニアや腫瘍などが原因の場合は、外科的に治療できる場合もあります。
変性性脊髄症や脊髄損傷では完治が難しく、長期的な管理が必要になることもあります。

Q2. 自宅でできる対処法はありますか?

A. 獣医師の指導のもと、膀胱マッサージや圧迫排尿などのサポートが行える場合があります。
ただし、自己流で行うと膀胱にダメージを与えることもあるため、必ず適切な指導を受けてください。

Q3. 手術ができない場合でも治療法はありますか?

A. 対症療法として尿カテーテルの留置や内服薬の使用、排尿介助などが行われます。
症状に応じて複数の方法を組み合わせて管理していくことが可能です。

熊本県玉名市六田
はやの動物病院