猫の排尿困難が老猫で見られたら|考えられる病気と外科手術を含む治療法
猫の排尿困難が老猫で見られたら|考えられる病気と外科手術を含む治療法

「トイレに何度も行くのに、少ししかおしっこが出ない」
「おしっこをしようと長時間うずくまっている」
「最近、おしっこの出方が弱くなった気がする」
このような症状は、とくに老猫でよく見られる排尿困難のサインです。
老猫の排尿困難は放置すると急性腎障害や膀胱破裂など命に関わる状態に進行する可能性があり、早急な診断と治療が必要です。
今回は老猫の排尿困難で考えられる代表的な病気と、外科手術を含めた治療法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、老猫の健康を守るための助けにしてください。
老猫の排尿困難で考えられる主な病気
老猫が排尿困難を起こす背景には、加齢による体内環境の変化や、若い頃からの持病・既往症が影響することも。
老猫が排尿困難を起こした時には、以下のような病気が考えられます。
膀胱結石
膀胱内に結石ができると尿の通りが妨げられ、スムーズな排尿ができなくなります。
老猫は若齢時に比べて飲水量が減り、尿が濃くなる傾向があるため、結石の再発リスクが高くなることも。
主な症状としては、
- 頻繁にトイレに行く
- 少量しか出ない
- 血尿が出る
といった様子が見られることがあります。
膀胱結石の種類によっては食事療法で溶かせない場合があり、その際は外科的摘出が必要です。
尿道狭窄
尿道狭窄は、過去に起きた尿道閉塞や外傷、炎症などによって尿道が狭くなる病気です。
特に雄猫で多く、老猫では慢性炎症による瘢痕が原因となることが少なくありません。
狭窄が高度になると、内科的治療では改善せず、手術で尿道を広げる処置が必要になります。
膀胱アトニー
膀胱アトニーとは、神経障害や繰り返す尿道閉塞などにより、膀胱の収縮力が失われて尿を押し出せなくなる状態です。
膀胱が過伸展し続けると筋肉が弱り、回復が困難になることがあります。
内科治療では改善が難しい場合が多く、排尿補助のためのカテーテル管理や外科的尿路確保手術が必要になることもあります。
腫瘍(膀胱腫瘍・尿道腫瘍)
老猫では泌尿器の腫瘍も排尿困難の原因になります。
腫瘍が尿路を塞ぐことで、持続的な血尿や頻尿、排尿困難が生じます。
腫瘍の場所や大きさによっては外科切除が可能です。
ただし、切除が困難な場合は排尿経路を確保する処置が中心となります。

老猫の排尿困難に対する治療法
老猫の排尿困難の治療は原因疾患に応じて内科的治療と外科的治療を組み合わせて行います。
老猫では全身状態の把握と麻酔リスクの評価も欠かせません。
内科的治療
- 抗菌薬(細菌感染がある場合)
- 消炎鎮痛薬
- 膀胱・尿道の筋肉を緩める薬
- 食事療法(溶解可能な結石の場合)
内科治療は症状緩和や感染のコントロールに有効です。
しかし、物理的な閉塞や狭窄が原因の場合は根本的改善は難しく、再発もしやすいのが現実です。
外科的治療
外科的治療は、原因が構造的・物理的な閉塞や狭窄である場合に有効です。
膀胱切開術
膀胱切開術では、膀胱を開いて中の結石を直接摘出します。
術後は再発予防のため、食事管理や定期的な検診が重要です。
会陰尿道瘻形成術
会陰尿道瘻形成術は、雄猫の尿道狭窄や閉塞が繰り返される場合に、尿道の出口を広げる手術です。
尿道の閉塞再発リスクを大きく減らせます。
猫の会陰尿道瘻形成術についてはこちらの記事もご覧ください。
尿管・尿道ステント設置
尿管・尿道ステント設置は、腫瘍などで尿路が閉塞してしまい、切除が難しい場合に尿路を確保する方法です。
膀胱部分切除術
膀胱部分切除術は、膀胱腫瘍のうち、膀胱だけに限局している場合に膀胱の一部を切除する方法です。

まとめ
老猫の排尿困難は、単なる加齢現象ではなく、深刻な泌尿器疾患のサインであることが少なくありません。
特に結石、尿道狭窄、腫瘍などは外科手術が必要となるケースも多く、早期発見・早期治療が重要です。
当院では、腎泌尿器の検査から内科・外科治療まで一貫して対応可能です。
愛猫の排尿異常に気づいたら、早めにご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. 老猫が排尿しづらそうにしている場合、すぐに病院に行くべきですか?
A. 排尿困難は腎不全や膀胱破裂に繋がる危険な状態です。
早期の診断と治療が愛猫の命を守るために非常に重要です。
Q2. 老猫に手術を受けさせても大丈夫ですか?
A. 高齢の猫でも、状態によっては安全に麻酔や手術が可能です。
全身状態や心臓・腎臓の機能などをしっかり評価したうえで、手術のリスクとメリットを検討します。
Q3. 食事療法だけで治せる膀胱結石もありますか?
A. ストルバイト結石など一部の結石は療法食で溶解できることがあります。
ただし、シュウ酸カルシウムなどの結石は食事では溶けず、手術が必要です。
熊本県玉名市六田
はやの動物病院


