犬の乳腺腫瘍に抗がん剤は必要?自宅でできることは?

犬の乳腺腫瘍に抗がん剤は必要?自宅でできることは?
「愛犬が乳腺腫瘍と診断されたが抗がん剤は必要なの?」
「どんなときに抗がん剤を使うの?」
「愛犬の抗がん剤治療が始まったが、何に気を付けたらいいかわからない」
腫瘍や抗がん剤という言葉を獣医師から聞いて、飼い主様がこのように不安になるお気持ちはよくわかります。
実は犬の乳腺腫瘍は手術が基本で、抗がん剤が必須となるケースは多くありません。
本記事では、どんなケースで抗がん剤が必要となるのかを中心に、自宅でできることについても解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬が乳腺腫瘍になった際の治療の参考にしてください。
犬の乳腺腫瘍に抗がん剤は必要?

犬の乳腺腫瘍の治療は手術が基本で、しこりの切除や片側または両側の乳腺を取る方法が一般的です。
そのため抗がん剤が必要になるのは限られた状況です。
乳腺腫瘍の治療の流れとしては「手術→病理検査結果の確認→必要なら抗がん剤検討」が一般的といえます。
犬の乳腺腫瘍に対する抗がん剤使用は、必ず併用する標準治療ではなく、以下の要素を考慮して個別に検討します。
例えば
- 腫瘍の型や広がり方
- 手術で採取した腫瘍の病理検査の結果
- 転移の有無
- 年齢
- 持病
- 可能な通院頻度
などさまざまな背景が判断材料になります。
乳腺腫瘍に対する期待できる効果と、飼い主様や犬の負担を両方考慮しながら、獣医師と飼い主で抗がん剤が必要かどうか決めていきます。
犬の乳腺腫瘍で抗がん剤が必要なのはどんなとき?

犬の乳腺腫瘍の治療で抗がん剤を使うときは、具体的にどんな病気や状態のときなのでしょうか。
ここではよくある4つのケースをご紹介します。
犬の乳腺腫瘍は病状の個体差が大きいため、以下の例で必ず抗がん剤が必要というわけではありませんし、これ以外は不要というわけでもありません。
炎症性乳癌のとき
炎症性乳癌とは、皮膚が赤く熱をもち、短期間で広がりやすい強いタイプの乳腺腫瘍です。炎症性乳癌は手術で切っても十分な治療効果が出にくいことが多く、抗がん剤で勢いを抑える必要があります。
この場合、抗がん剤を使用する目的は完治よりも「進行を遅らせる」「痛みや腫れを軽くする」ことです。
明らかな転移、再発があるとき
乳腺から肺やリンパ節などへ腫瘍の転移がある、または手術後に再発した場合は、抗がん剤を使用することがあります。
抗がん剤の使用によって腫瘍の増え方をゆるめ、症状を軽くするためです。
この場合も完治より生活の質(QOL)を守ることを重視します。
病理検査で腫瘍の悪性度が高いと分かったとき
手術で腫瘍を取り切れても、病理検査で「悪性度が高い」「血管やリンパ管に入り込んでいる」などが分かると、再発のリスクが高いと判断されます。
このようなときは、再発を遅らせる目的で術後の補助療法として抗がん剤を検討することがあります。
手術では取り切れない部分があったとき
腫瘍が広く、太い血管や皮膚と強くくっついていると、手術しても一部を残さざるを得ないことがあります。
この場合は、残った腫瘍の増大を遅らせる目的で抗がん剤を使う選択肢があります。
犬の乳腺腫瘍で抗がん剤を始めたら|自宅での見守り方

抗がん剤治療を安全に続けるために飼い主様ができることは、自宅での細かな観察とケアです。
例えば、
- 日付ごとに食欲や排便などを記録する
- 長い散歩や混雑した場所は控える
- 食事はにおいの立つ温めたウェットを少量・回数多めにあげる
- 水は複数箇所に置き、器は清潔にしておく
- 処方されたお薬を指示通り飲ませる
ということが挙げられます。
これらは、飼い主様の負担が大きくなりすぎない範囲でかまいません。
飼い主様や愛犬の負担が大きいと感じたら、いつでも動物病院へご相談ください。
まとめ
犬の乳腺腫瘍は、まずは手術で腫瘍をしっかり取り除くことが基本で、抗がん剤は状況に応じて検討される治療です。
抗がん剤治療では、必ずしも「完治」だけを目指すのではなく、腫瘍の進行をゆるやかにし、痛みや不快感を和らげて生活の質を守ることも大切な目的になります。
愛犬が抗がん剤を使っている場合には、自宅で愛犬をよく観察し、愛犬が少しでも楽に過ごせるよう、無理のない範囲で環境やケアを整えてあげるようにしましょう。
当院では外科診療に力を入れており腫瘍疾患にも対応しています。
不安な点があればひとりで抱え込まずに、動物病院へご相談ください。
熊本県玉名市六田
はやの動物病院


