犬のおしっこが出るけど少ないのは病気?|原因や治療法について解説

犬のおしっこが出るけど少ないのは病気?|原因や治療法について解説

トイレで排泄をするトイプードル

「トイレには行っているけど、出ている量が明らかに少ない気がする」
「何度も排尿しようとするけれど、少ししか出ていないように見える」
「おしっこの量が減ってから、なんとなく元気もない気がする」

このような排尿の異常に気づいた飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか?
犬のおしっこの量が「出るけど少ない」状態が続いている場合、泌尿器に何らかの異常が起きている可能性があります。

今回は、犬のおしっこが出るけれど量が少ないときに考えられる病気や、その治療法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、早めの対処につなげましょう。

おしっこの量が少ないときに考えられる主な病気

犬の排尿量が少ない場合、以下のような疾患が関係している可能性があります。

膀胱炎

膀胱炎は、細菌感染やストレス、結石などにより膀胱に炎症が起きる病気です。
炎症が起きると、膀胱が刺激されて強い尿意を感じるようになりますが、実際に出る量はわずかです。

  • 頻繁に排尿姿勢を取る
  • 血尿が出る
  • おしっこをするたびに痛がる

といった症状が見られることがあります。
膀胱炎が悪化すると尿道閉塞などの重篤な状態を招くこともあります。

尿路結石症(膀胱結石・尿道結石)

膀胱や尿道に結石ができると、尿の通り道が狭まり、少しずつしか排尿できなくなることがあります。
また、膀胱内の石が炎症や痛みを引き起こし、排尿を妨げてしまう場合もあります。

  • 尿の出始めや終わりに痛がる
  • おしっこを出したそうにうろうろする
  • 何度も排尿姿勢を取る

といった行動が見られた場合は、結石による排尿障害が疑われます。

膀胱結石を放置した場合のリスクはこちらの記事もご覧ください。

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尿道閉塞の前段階

尿道閉塞は、特に雄で結石などが尿道に詰まってしまうことで発症する、命に関わる病気です。
完全に詰まってしまう前の段階では、「ちょっとしか出ない」「時間をかけてチョロチョロ出ている」といった排尿異常が見られることがあります。
完全閉塞に進行すると、短時間で急激に全身状態が悪化するため、早期の対処が必要です。

ケージの中のトイレに座るトイプードル

検査と診断方法

排尿に関する異常がある場合、以下のような検査を行います。

  • 尿検査:炎症や感染の有無、結晶の有無を確認します
  • 超音波検査:膀胱や尿道、腎臓に異常がないかを調べます
  • レントゲン検査:結石の有無や位置、大きさを確認します

症状や検査結果に応じて、必要な治療方針を決定します。

治療法と手術の選択肢

原因となっている病気によって、治療法は以下のように異なります。

膀胱炎の場合

膀胱炎が原因の場合には、

  • 抗菌薬による内科治療
  • 飲水量の確保
  • 結晶尿がある場合は食事療法

などの治療方法があります。

尿路結石症の場合

尿路結石症では、食事療法による結石の溶解を試みることがあります。
結石が溶けない・尿道に詰まっている場合は外科手術が必要です。
尿路結石症の外科手術には、

  • 膀胱切開術:膀胱内の結石を摘出
  • 尿管切開術:尿道内の詰まりを直接取り除く

などが存在します。

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また、膀胱結石の手術では、膀胱を切開して結石を摘出するため、術後に尿漏れなどのトラブルが起こることもあります。
手術後も定期的な診察を受けることが重要ですね。

膀胱結石手術後の尿漏れについてはこちらの記事もご覧ください。

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尿道閉塞の場合

尿道閉塞を起こしかけている場合には、緊急の導尿処置が必要です。
また、尿道閉塞の再発を繰り返している場合は会陰尿道瘻形成術が検討されることもあります。

おむつをしてこちらを見つめるトイプードル

まとめ

「おしっこが出てはいるから大丈夫」と思っていても、実際には泌尿器系の病気が進行していることがあります。
特に尿のトラブルは進行が早く、命に関わることも少なくありません。

当院では、泌尿器に関する検査・診断・手術まで一貫して対応しています。
「最近おしっこの様子が変だな」と感じたら、ぜひ早めにご相談ください。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. おしっこが少なくても出ていれば問題ないのですか?

A. 出ていても量が極端に少ない、回数が多い、排尿時に痛そうなどの異常があれば、病気の可能性があります。
油断せず、動物病院での診察をおすすめします。

Q2. 排尿量が少ない場合、すぐに手術が必要になることはありますか?

A. 原因によっては内科治療で改善することもありますが、結石や閉塞がある場合には手術が必要になるケースもあります。
検査による正確な診断が重要です。

Q3. おしっこが少ないけれど元気がある場合は様子見でも大丈夫ですか?

A. 元気があっても泌尿器疾患は徐々に進行することがあるため、自己判断で様子を見るのは危険です。
早めの検査が安心につながります。

熊本県玉名市六田
はやの動物病院